理想は「最高の自分」
現代社会において、コロナ禍により、IT化が急激に進展し、情報の瞬時の共有や業務効率の向上など、私たちの業務は大きく変化し、急な変更など柔軟に対応することが必要になりました。仕事においてもオンライン業務が増え、人間関係の希薄化といった懸念もあります。その結果、誰かに相談できる機会が減少し、一人で悩みを抱えることも増えています。
私自身も、自分に自信が持てず、過去の成功体験があっても、「次に成功するとは限らない」という不安から、新しい挑戦を躊躇してしまうこともありました。明日の仕事が心配な時には「あの時のようにできるかな」と、眠れない夜を過ごしていました。
そのような時、NLP心理学に出会いました。何より自分に自信がなく完璧主義の自分自身は、自己肯定感を高めるためにNLP心理学のスキルを取り入れることで、思考の変革がもたらされたのです。
自己否定的な考え方で不安を抱えた時、自分の理想像が「あの人のようにできれば」という発想ではなく「あの時の最高の自分を呼び起こす」ということが大きな自信に繋がりました。
「アンカリング」とは?
「アンカリング」とはNLP心理学の一つで、過去の成功体験による記憶や感情を、船がアンカーを下ろすように繋ぎとめておき、いつでも惹き出せるようにするスキルです。いつも不安で繊細な方には、ぜひ実践していただきたいスキルです。
「アンカリング」とは外部刺激と内部の反応を結びつけるプロセスのことなのです。そのためには「最高の自分を惹き出す」ためのスイッチのようなものが必要になります。そのスイッチを押すことで、成功体験のパワフルな状態を呼び覚ますことができるのです。まさに「船の碇」を下したところに戻るということですね。このブログでご紹介した「迷わず適職発見!譲れない価値観『キャリアアンカー』」でも、船の碇に例えられていましたね。特定の刺激をきっかけとして、特定の心理状態(アンカー)を引き出すのが、「アンカリング」というテクニックなのです。
そして、「アンカー」とは、特定の反応と条件付けられた刺激のことです。アンカーは「自然に発生」することもあれば、「意図的にかける」ことも可能です。「アンカー」の例えとして、「パブロフの犬」の条件反射が挙げられています。これも「好意は最強の武器!『好意を抱かせる6つの法則』とは?」でもご紹介いたしましたが、ロシアのパブロフ(1849〜1936年)が実験で発見した生理現象で、犬にベルを鳴らしてえさを与えると、ベルを鳴らしただけで、犬がだ液を分泌するようになる条件反射です。アンカーは、経験の一面であり、その時に抱いた感情と共に、その経験全体を呼び起こすことができるのです。
例えば、ある曲を聴くことにより、その曲が主題歌だったドラマを思い出すことがありますよね。あるお花の香りを嗅ぐと、実家の庭に咲いていたことを思い出して懐かしい気持ちになったり、昔の恋人との思い出の場所に訪れた時に、切ない気持ちになったこともあると思います。
これは、強烈な感情を伴う体験が、特性の体験と強く結びついて、そのことがスイッチとなり、条件反射のように過去の体験や感情が呼び起こされるのです。このような一連の記憶の構造を使って、自分の感情をコントロールできるのが、「アンカリング」なのです。
なりたい自分になるための体内スイッチを用意しよう
それでは、「最高の自分」を呼び起こすためのスイッチを設定するのは、どのようにすれば良いのでしょうか?私がNLP心理学学んだ時に、驚くほど楽に簡単に手に入ることがわかりました。これまで「深く悩んだことが何だったの」と感じたぐらいです。ただアンカリングしたい体験を再現し、その状態がピークになる寸前で、アンカーの動作を行うだけです。これを何度か繰り返すことで、強化されていくのです。繊細なあなたも、楽に成功を手に入れてください。手順は以下の通りです。
1.アンカリングする体験・感情を決定する
まず、アンカリングによって惹き出したいポジティブなイメージ(アンカー)を設定します。過去の体験を振り返り、自分が最も自信に満ちあふれていた状況や、最も輝いていた「最高の自分」の瞬間を思い出しましょう。そして重要なことは、その時の感情が自分自身の「ポジティブ」な記憶であることが大切なのです。ネガティブな経験ではなく、自分が輝いている「最高の瞬間」を思い出してください。
2.アンカーのスイッチとなる動作を決定する
次に、アンカーのスイッチとなる動作や身体を触る場所などを決定します。複雑すぎず、単純な動作にします。普段、日常生活であまり使わない動作がお勧めです。例えば、自分が触ってしまう身体の癖があると、つい無意識に触ってしまいますよね。その状況では集中しておらず、「最高の自分」を呼び起こす作業に支障があります。「今こそ輝くを呼び起こしたい」というその瞬間にのみ、「最高の自分」を呼び起こすことが重要なのです。その時の行動として、耳たぶを触る、手首を掴む、指を交差するなどです。あなたがフィット感があり、正確に繰り返せる動作が理想的です。
3.アンカリングの状態を五感で再現する
そして、何より大切なことは「最高の自分」の状態の特徴をしっかりと思い出すことです。「どのようなイメージが見えるか?」「どのような音が聴こえてくるか?」「どのような感情になっているか?」やその時の「姿勢や呼吸」などをできるだけ詳細にかつ正確に、イメージしながら五感で存分に味わってください。五感を使って正確にイメージしましょう。
4.「最高の自分」がピークの直前に、「アンカー動作」と「フレーズ表現」する
さらに、アンカリングの状態を五感で十分に味わいながら、まさに「最高の自分」がピークの直前になった瞬間に、その時の気分にふさわしいフレーズと共に、スイッチとなる動作を行います。
例えば、「自分なら必ずやり遂げる」というフレーズで「左手でこぶしを作る」という動作や、「プレゼンの達人」と唱えて、耳たぶを触るなどです。あなたがフィットする行動と動作で「最高の自分」を呼び起こしましょう。
5.状態を消去して、繰り返す
一連の動作が終わったら、一旦、深呼吸をしたり、首を回すなど状況を消去するためにブレイクします。そして、アンカーの動作を行ってみて、どのような感じがするか試してみましょう。設定した感覚がよみがえってくれば、成功といえます。その感覚が薄いようであれば、再度動作を繰り返してください。
アンカリングが作動する成立条件とは
アンカリングを成功させるためには、次4のつの要素が必要です。
●アンカリングの強度 |
アンカリングの感覚は、強い刺激の方が、影響が大きくなります。「最高の自分」の体験が、自分らしく輝いており、強い感覚や感情を伴う経験であるほど容易にアンカーがかかります。 |
●経験の純度 |
その経験が、単一の経験で、他のものと混同しない純度の高いものであることも重要です。 |
●アンカリングのタイミング |
アンカーの設定は、その感覚がピークに達する瞬間に行うことが、最も効果的です。 |
●アンカリングの正確さ |
体験を呼び起こす際に、正確に再現し、惹き出せることも大切です。 |
まとめ 「最高の自分更新」を継続しましょう
そして、「今回は最高にうまくいった」という瞬間は、あなたの成功により、さらに確実に更新していきますよね。その状態を現実に体験しているときに、その場でアンカリングを行うこともできます。現実に体験している「今」の感覚を、その場でアンカーセットを行うので、非常にリアルで強力なものになります。いつでも「最高の自分更新」ために、「アンカー動作」と「フレーズ表現」を取り入れられるようにしましょう。一瞬にして「最高の自分」を惹き出し、さらに「最高の自分更新」を継続していくためにアンカリングを活用していきたいですね。