現代社会の働き方は、新型コロナウイルスの影響で大きく変化し、働き方も急激なIT化が進行し、テレワークや時差出勤などを取り入れる組織も多く見られます。これは柔軟な働き方が可能になる反面、急変する職場に対応することは大きなストレスにもなります。さらには酷暑や豪雨など、個人では防ぐことのできない気象状況などの外的要因により、急な変更を余儀なくされる場合も増えています。このような状況で、自分自身のキャリアプランに、迷いが生じている人も多いのではないでしょうか?
現代のような「何が起こるかわからない」社会で、新しい行動を起こすことは失敗のリスクが高く感じられ、次のステップに踏み出すことを躊躇してしまいがちです。未来を描くことは大切ですが、先のことばかり考えると不安が募ります。それよりも、失敗を恐れず可能性を広げるための第一歩を踏み出す勇気を持ちましょう。「新しい行動」が心配になるのは、「予想外の結果」を想定するからです。今できることに集中し、目の前のことを懸命に努力し、ベストを尽くしましょう。そのような日々の積み重ねの継続で、未来に対しての方向性も見えてくるようになります。
そして、「予想外の結果」になったとしても、その偶然をポジティブに受け入れることで、新しい発見に繋がります。予期しない出来事が、思わぬ幸運を惹き寄せることがあります。セレンディピティ(幸運な偶然)を手に入れる力をご紹介いたします。
クランボルツ教授が提唱する「計画的偶発性理論」
クランボルツ教授は「計画的偶発性理論」の中で、個人のキャリアの8割は予期せぬ偶然の出来事によって形成されており、その偶然の出来事は、本人の努力次第でキャリアの向上に繋げることができると提唱しています。そして、偶然の出来事は、意図的に惹き寄せるよう働きかけることが大切と述べられています。そして、幸運な偶然に出会うためには、5つの法則が挙げられています。
【好奇心】幸運な偶然は遠い場所からやってくる?新しい学びの機会を模索しよう!
まず、好奇心を持って、新しい学びの機会を模索しましょう。あなたの興味関心のアンテナに触れることを、行動に移してみましょう。そして、あなたのキャリアアップや趣味などと「深く関係していないこと」に挑戦する方が幸運のチャンスが掴める可能性が高いです。
なぜなら、WebニュースやSNSでは、自分自身が気になる情報だけを収集し、そのことで「自分バイアス」がかかっており、偏った情報収集になりがちです。以前は、映画や音楽CDなどは、お金を払って購入することが当たり前であり、どのような内容であっても、「せっかく買ったんだから」という理由で、最後まで観たり、聴いたりしていました。その「元を取る」という考え方で、今まで好きになれなかった曲調やストーリ性に出会い、意外にも興味を持つ機会がありました。
現在は、サブスクリプションが主流となり、自分が興味を持たない映画や音楽は「時間のムダ」と途中で見るのを辞めてしまいます。その後に、素晴らしい発見があるかも知れないのに、効率性を選択してしまいがちです。一見、「無駄な時間」と思えることこそが、学びの機会なのかも知れません。社会は便利で効率化されていきますが、新しい情報に偶然に出会うチャンスが格段に減少しています。
なぜか偶然のチャンスは意外にも遠いところから巡ってきます。それは、自分を新しい場所に置いたからと言えます。私自身の経験からも、自ら声を掛けた時に、お声を掛けていただくことが多いです。長い待ち時間に眺めた雑誌で見つけた情報や、遠回りの散歩で見つけたお店など、少し気になったら、ぜひ行動に移してみましょう。
【柔軟性】「最大のピンチ」は「絶好のチャンス」?計画にこだわり過ぎず、柔軟に変化を楽しもう!
そして、何事も計画通りに進まないときこそ、幸運を惹き寄せる絶好の機会かも知れません。変化の激しい時代には、計画通りに進むことの方が、難しいとも言えます。「自分が決めた計画が、円滑に進行できなければストレスが溜まる」という一途な方も、一度「まぁ、予想の結果ではないけれど、面白いから続けてみよう」と柔軟に対応してみてください。特に、最初から完璧に対応しようとすると、そのことでもストレスが溜まります。
どのような出来事も「まぁ、こんなこともあるよね」と楽観的に捉えることで、自分自身の余裕を持った行動に繋がります。そのことで客観的に物事を見ることができると、次のステップに向けて発見があるかも知れません。「こりゃ~全然ダメだ~」と大声で笑いながら、改善方法を探すと、イライラから解放されて、安定した精神力を保つことができ、幸運を惹き寄せることに繋がるのかも知れませんね。
【楽観性】「知識のインプット」より「経験して学ぶ」?「明日から」ではなく「今すぐ」始めよう!
現代では、SNSを使って何事も素早くスタートできるようになりました。新しく事業を始めた時は「絶対、成功するぞ」という強い意志も必要ですが「何が起こるかわからない時代」では、「何もしないより、とりあえず、やってみよう」という意識で始めてみるという楽観的な気持ちも大事です。
そして、変化の激しい時代では、数年後がどのような社会になっているかが不透明です。準備期間を入念に行っても、スタート時に役立つかどうかわかりません。現代社会は「早く行動して柔軟に修正する」という時代になりました。長期間の知識のインプットより、まず、行動に移して、経験から学んでいきましょう。
【冒険心】一歩踏み出す勇気を出して「小さなトライ」?結果が不確実でも行動を起こそう!
不確実な社会の中で、新しい仕事に挑戦するのは誰しもが不安があります。転職したいと思っても、「本当に働きやすいのか」「人間関係が良いのか」など心配なことが多いですね。思い切って起業したいと思っても、莫大なコストもかかります。「今すぐ始める」と言われても、そのような大きなリスクを取る勇気が出ませんよね。
そのような時は「小さなトライ」から始めてみましょう。例えば「物を売る」ビジネスを始めるのであれば、まずネットショップで販売して、「売れる市場」を見つけましょう。転職したいのであれば、転職サイトに登録して、キャリアコンサルタントに状況を聴いてみましょう。「すぐに始める」とは「すぐに行動を始める」ということです。まず一歩を踏み出して「小さなトライ」を始めると、「経験しなければわからなかったこと」に出会えます。それも、偶然のチャンスと言えるのです。
【持続性】良い風が回ってくるまでの「経験による準備」?失敗に屈せず努力を継続しよう!
不確実性の高い社会の中で、新しいチャレンジにはリスクが伴い、予期せぬ出来事に偶然に出会うことがあります。その偶然を「チャンス」と考えるか「ピンチ」と捉えるかもどうかも自分次第です。そこで諦めることなく、継続的な努力は大切です。経験により、改善しながら、「これ」と決めたものには粘り強く取り組みましょう。
例えば、あなたが「フリーライターとして独立したい」と考えているとします。「小さなトライ」としてSNSで発信することで、文章力の向上に繋がりますし、編集者の目に留まることもあるかも知れません。何の努力もしていなければ、いざチャンスが巡ってきても、実力が足りずに好機を逃してしまう可能性があります。いつどのような機会が巡ってきてもいいように、自分の目標に関わる努力はコツコツと続け、いつでも力を発揮できるように十分に準備を整えておきましょう。これは良い風が回ってくるまでの「経験による準備」といえます。その偶然が訪れるまで、努力を継続していきましょう。
望ましいキャリア・ビジョンに向けて可能性を広げる継続的行動
このように、偶然は待っていても訪れません。これからは偶然を惹きよせていく時代です。変化の激しい時代には、緻密な計画を練っても、何が起こるかわかりません。このような時代は、行動して、修正して、継続していくことが大切です。
そして、私たちが行動すると、チャンスに出会えます。そして、私たちはこの「偶然のチャンス」を見逃している場合が多いです。なぜ見逃してしまうかというと、「チャンス」に気づいていないからです。日々の通勤時間では余裕がなく、街の風景の移り変わりに気づかないことが多いですね。街をじっくり観察するだけでも、さまざまな発見があります。「散歩で新しい図書館発見!」「犬の散歩コース変更で新しい人と知り合いに」など、その偶然も大きなチャンスかも知れません。
さまざまな出来事に対して、日々同じ行動をしているとチャンスは訪れません。自ら新しい行動を起こすことにより、想定外のチャンスにめぐり逢い、掴み取ることができるのです。
まとめ キャリア・ビジョンに向けて継続的行に行動しよう
そして、この5つのスキルは、望ましいキャリア・ビジョンに向けて可能性を広げる継続的行動とまとめられます。これからの時代は、予期せぬ出来事の影響力に気づき、「自分自身のなりたい姿」に向かってベストを尽くして、チャンスを活かしていきましょう。自分を信じて「小さなトライ」を継続することが、幸運に出会うための第一歩です。